まちなかぶらりん(織物のまち)

京都は織物のまちとしても知られています。

京都で応仁の乱が起きた際、山名宗全が西軍の陣地を置いたことから、堀川上立売付近を西陣と呼び、この界隈で作られる織物を西陣織と呼ぶようになりました。

かつて私が暮らしていた京都のまちでは、ほとんどの方が糸へんの仕事をなさっていたほど、織物が生活に欠かせないものでした。織機から聞こえる大きな音の中で、幼い時代を過ごしたものです。

そんな懐かしい織物のまちを本日は京都まちなか散歩してみたいと思います。出発地点は「千本出水」ここを起点とし、さらに上がって行く(北に行く)ことにいたします。

千本下長者町西入ルには、「大市」というすっぽん料理のお店があります。こちらは創業約340年の老舗で、メニューは丸鍋(24000円)のみというこだわりの店。私はすっぽんが苦手なため行ったことはありませんが、各界の著名な方々が贔屓にされているとのことです。

散歩のついでに足を運ぶ……といったタイプのお店ではありませんが、老舗のが味が気になる方には通信販売も行われていますので、特別な日に注文してみるのも良いかもしれません。

この界隈にはもうひとつ、「江畑」という有名な焼き肉店があります。昭和情緒あふれる佇まいの老舗焼肉屋なのですが、カウンター席なら店員が目の前で焼いてくれるスタイルながら、手ごろな価格で食事できます。「京都まちなか散歩の締めはお肉で!」という際には是非寄ってみて下さい。

さて、さらに散歩の足を上へ(北へ)と向けて行きます。すると、やがて「五番町」へ到着します。この地は、水上勉の小説「五番町夕霧楼」の舞台になったところでもあり、昭和の昔日といった京都に触れたい方の散歩にぴったりの場所です。

「五番町夕霧楼」は映画化されており、何度も目にしました。松坂慶子、奥田英二の二人の間にせつなさと淡い恋模様が漂っていて、悲恋という感慨が今も胸を打ちます。松坂慶子の美しさ、奥田英二の演技力、どちらも際立っていたことが今でも忘れられません。

そんな淡い思い出に浸りながら、京都まちなか散歩は続きます。「今出川浄福寺」を上がっていきますと「西陣大黒町」へ出ます。この界隈は風景(風情)がかなり変わっています。通りを石畳へ、電柱を地下埋没するなど、景観と伴に職住一体化が推進されているのです。

次は、ちょっと散歩の足を延ばして、釘抜地蔵で有名な「石像寺(しゃくぞうじ)」へお参りいたします。こちらはもともと、「苦抜(くぬき)地蔵」と呼ばれていたのが、後になってくぎぬきの名で知られるようになったとのことです。京都の中でも特に地元の方たちからも愛されている寺院ということもあり、私もよく拝んで来ました。

本日の散歩のゴールは「千両ヶ辻」となりました。この辺りには京町家が残っていて、京都ならではの落ち着きを感じます。京都が誇る写真家「水野克比古」さんの「町家写真館」もあります。

京都を50年もの間撮り続けた水野さんの作品がギャラリー展示されており、お気に入りの写真のオリジナルプリントを購入することも可能です。また、水野秀比古さんの作品も一緒に展示されているため、作風の違いを楽しむのも趣き深いです。

見学は無料ですが、来館される際は予約が必要なため、事前に問い合わせておきましょう。

是非、趣きあるまちなみを感じながら、京都まちなか散歩を通じて贅沢な時間を堪能してください。

参考URL
https://mizunohidehiko.wordpress.com/photogallery/

千両ヶ辻