花を求めて(両足院)
6月26日にようやく梅雨入りし、新聞紙上では「61年ぶり観測史上最も遅い」と掲載されていました。この梅雨入り早々の中、「半夏生(はんげしょう)」という少し不可思議な名前に目が留まりました。
半夏生は、ドクダミ科の植物で梅雨の時期に開花し、周りの葉が緑から白く色を変え、水芭蕉の花が咲いたようになるとのことです。そして、開花が終わればまた緑に戻るという何とも不可思議な花です。
半夏生は、「半化粧」とも言われ、半分だけ化粧をしたところから名付けられたとする説、また、夏至を過ぎて11日目からの5日間は半夏生という期間で、この時期を知らせるかのように開花する点から名付けられたとする説があり興趣の深さに少し心を奪われたかのようです。
半夏生を見たいと思いつき、建仁寺塔頭の両足院で例年特別公開があるとのことで、京都まちなか散歩にぶらり、出かけることとしました。建仁寺は、臨済宗大本山の寺院で、確か2002年だったと思うのですが、法堂の天井画「双龍図」を見に訪れ、その荘厳さに圧倒されたことを記憶しています。
建仁寺は、花見小路通のどんつきに位置しているのですが、この界隈は祇園で花街にあたります。訪れた日も平日ながら、国内外の多くの観光客がおられ、今さらながら国際観光都市である京都を実感しました。久しぶりに訪れた祇園ですが、花街はあまり好きではないと思いながらも、少し伏し目がちに通り過ぎていく舞妓はんに一瞬ドキッと感じてしまう身に矛盾を感じ、散歩の足をさらに進めました。
ようやく京都まちなか散歩の目的地、建仁寺の西にある両足院に着き、そのこじんまりとした寺院の様相に、なるほど厳かな禅寺の塔頭を感じました。
早く見たいと言う気持ちをこらえ切れず少し散歩の足取りを早めながら、書院前庭へと急ぎ参りました。そこには、半夏生が白くお化粧をし、池畔一面に咲いておりました。その際、先ほど祇園ですれ違った舞妓はんが少し頭をよぎりましたが、半化粧とは言い得て妙!と納得しました。美しい庭と対峙しながら、自然はなんと美しい画を見せてくれるのだろうと感じつつ、京都はこうして落ち着ける場がいくつもあると頷いている自分に気が付いていました。
半夏生の美、静寂な庭をぼんやりと思い出しながら、ふたたび花見小路をぶらりと散歩しながら、「あの舞妓はんにまた会わへんやろか」と思いつつ両足院を後にし、京都まちなか散歩を終えることとしました。
また、京都まちなか散歩を通じて移ろう季節を感じさせてくれる花との出会いを心待ちにしたいと思います。
参考URL
https://ryosokuin.com/