門跡中の門跡寺院!仁和寺

京都には、皇室と関わりの深い寺院が数多くあります。京都まちなか散歩に出かけますと、長い歴史を経て今ここへ立っている自分の存在が、奇跡であるように感じられるものです。数ある皇室ゆかりの寺院から、「仁和寺(にんなじ)」へ行き先を定め、京都まちなか散歩を開始することにいたします。

888年に創建された、真言宗御室派総本山の「仁和寺」は門跡寺院ですが、その中でも最も格式高い門跡寺院と言われています。仁和寺第1世は宇多天皇(法皇)で、「菅原道真」を重用していました。その後、「道真」は右大臣まで昇進し太政官で政務を司るまでになります。

しかしながら、天皇譲位後は藤原時平らに謀反の嫌疑をかけられ太宰府へ左遷となります。「道真」は宇多法皇を頼り「仁和寺」を訪れたとのことで、今でも「水掛不動尊」には法皇を待ち続けた「菅公腰掛石」が残されています。

「仁和寺」は御室桜を愛でられる、京都散歩先としても有名です。まちなかでソメイヨシノが散り始め、桜も終わりに近づくころ……4月の中旬から下旬でしょうか。最後に見られる遅咲きの桜が「御室桜」です。

背丈はそれほど高くなく、眼前に花の様子が見られるため、毎年多くの京都観光客が写真におさめています。満開の時期ともなると、その美しさは壮観です。

ちなみにですが、「鬼平犯科帳(中村吉右衛門主演)」のエンディングで五重塔をバックに桜の風景が流れるのをご存知でしょうか? 実はあれも、仁和寺の御室桜です。京都まちなか散歩人の私はドラマを見るたびに、「ああ御室さんの桜」と感慨深く見入ってしまうのです。

それでは散歩の足を進め、京都三大門の一つである「仁王門」を入って参りましょう。入った瞬間に視界が開け周囲の風景が一変します。この差を楽しみに、京都まちなか散歩へ訪れている方も多いようです。

「仁和寺」は広い敷地にありますので、ここへ京都散歩に来るだけで、十分に良い運動になります。桜の季節以外は拝観料無料で境内を散歩できるため、世界遺産でもある寺院でゆったりとした時間を過ごされたい方におすすめの場所です。

入って左手には「御殿」があります。こちらは拝観料がかかりますが、書院の間や庭には御室御所と言われた風情があり、門跡寺院の風格を痛感できます。

右手奥には「五重塔」があり、散歩へ訪れた人たちを迎えてくれます。京都人にもあまり知られておりませんが、実は京都には4つの「五重塔」が存在しています。もっとも有名なのが「東寺」、その他にもこの「仁和寺」に加え「醍醐寺」「法観寺」に「五重塔」がありますので、すべて京都まちなか散歩にて巡ってみるのもなかなか面白いかと思います。

よりゆっくり過ごされたい方には「御室会館」という宿坊もあります。宿泊客のみ「仁和寺」で行われる朝のお勤めへ参加できることもあり、京都の中でも人気の高い宿となっています。世界遺産に泊まるという経験はあまりできませんので、遠方からお越しの方には特に、思い出に残るプランになるのではないでしょうか?

参考URL
http://www.ninnaji.jp/

仁和寺