威厳というよりイヤミ?金閣寺

京都へ観光で訪れ、まちなか散歩へ行く方の多くが「金閣寺」もしくは「清水寺」を目指すのではないでしょうか? いずれも修学旅行の大定番であり、年齢国籍を問わず、多くの方々で常に賑わっている国際観光スポットです。

本日の京都まちなか散歩では足を北へ向け、京都人は意外に訪れない「金閣寺」へと向かいます。「金閣寺」は正式名称を「鹿苑寺(ろくおんじ)」と言います。金閣とは舎利殿を表すものですが、その立派な佇まいがあまりに印象的であったため、寺院全体の総称として「金閣寺」という名前が使われるようになりました。今では地名も「京都市北区金閣寺町」とされているほどです。

この「金閣寺」は、臨済宗相国寺派大本山である相国寺の塔頭の一つです。かつて「足利義満」は、太政大臣まで上り詰め相国と呼ばれますが、その権勢は天皇の権威を脅かすほどでした。

「室町幕府」の存在を確固たるものとし、「南北朝の統一」や「明との貿易」、「北山文化の興隆」といった偉業は、価値あるものであり、京都だけでなく日本の歴史上、名だたる偉人であることは誰もが認めるところでしょう。

しかしながら「金閣」をその眼前にした際、少し違った側面も頭をよぎります。あまりの美しさに、いつ拝観しても思わずため息が出るほどの素晴らしさを感じるのですが、これは絶対的権力者である「義満」が自らの威を天皇に見せつけたのでは?との懐疑が頭に浮かぶのです。

このようなアイロニーを感じるのは、私だけかもしれません。しかし、歴史とはそれぞれ解釈の違うもの。過去へと想いを馳せながら、京都のまちを散策するのが趣味となっておりますので、自在な空想を止めることなく、今後も京都のまちなかでぶらり散歩を続けていく所存です。

さて、この「金閣寺」散歩ですが、是非四季を楽しんで頂きたいと思います。青々とした緑の中に建つ「金閣」や、降り積もった雪で雪化粧した冬の「金閣」もそれぞれ違った味わいがあります。

特に「修学旅行や観光で訪れた」という方は、春や秋のタイミングであることが多いでしょう。そんな方は是非、寒さの中に堂々と建つ「金閣寺」の元へ、散歩の足を運んでみて下さい。ありそうでなかった鮮やかな白と金とのコントラストが、京都まちなか散歩の目を楽しませてくれます。

また、金閣寺、龍安寺、仁和寺といった世界遺産をめぐる散歩道、「きぬかけの路」を散歩するのも一興です。

本日は観光真っ盛りな11月の拝観でしたので、「金閣」周辺の悠々とした松の緑が印象的でした。この松の中でも、散歩の際に是非見て頂きたいのが、樹齢600年を超えると言われている「陸舟の松(りくしゅうのまつ)」です。

書院の前にあり、まさに「船」の形をしていますから、すぐに目に入ると思います。元々は「義満」の盆栽であったそうですが、ずいぶんと大きく育ったものです。その勇ましい姿に思わず散歩の足を止め、見惚れながら思い出したのが、松は一年を通じ青々と茂る生育力から“強さの象徴とされている”という話です。

かつて「二条城」に京都まちなか散歩へ行った際、「二の丸御殿」の襖絵には力強い松が描かれていました。特に大広間の画は、徳川将軍の諸大名に対する威圧を物語っていると感じました。

この「陸舟の松」だけでなく京都には「京都三大松」と呼ばれる立派な松があります。それが、京都市左京区にある「善峰寺」にある「遊龍の松」、そして「宝仙院」にある「五葉の松」です。京都まちなか散歩の行き先で迷ったら、一度はこの「京都三大松」を訪ねてみるのも面白いです。

こちらは、萩の違い棚と南天の床柱で有名な茶室夕佳亭(せっかてい)です。この数寄屋造りの茶室から臨む夕日に映える金閣は、後水尾上皇が絶賛されたとのことで格別な趣きが漂っています。

参考URL
http://www.shokoku-ji.jp/k_about.html

金閣寺