知られたくない散歩道!御所

京都に訪れる、それぞれの季節を感じながら散歩がしたい。
そんな時におすすめなのが「御所」散歩です。

平安時代から続く、歴史ある「御所」には、春であれば「梅」や「桃」「ツツジ」そして「桜」が。夏の訪れとともに新緑が目に鮮やかになり、梅雨には色とりどりの紫陽花が散歩客を迎えてくれます。
夏になれば、真っ赤な百日紅が暑さを吹き飛ばしてくれるような力強さで、秋には見事な紅葉が品よく佇むなど、京都の中でも四季を通して美しい風景が楽しめる散歩道となっています。

この「御所」ですが、正式には「京都御苑」という名称であることをご存知でしょうか?
このまちの人たちは、親しみを込めて「御所」と呼んでいるため、意外に知らない方もいらっしゃるかもしれません。

桓武天皇が京を定め、明治の時代が訪れるまで、「すめらみことがおはします(天皇がいらっしゃいます)」という言葉とともに、様々な権威を「御所」が象徴してきました。
散歩の歩を進めるたび、緑があふれるこの憩いの場も、幾多に訪れた京都の変遷をじっと辛抱強く静観してきたのだと、感じずにはいられません。

文学が好きな方や歴史好きな方にも、「京都御苑」は是非推薦したい場所です。苑内の邸宅は源氏物語のモチーフですし、「猿ヶ辻の変」や「蛤御門の変」といった維新の歴史もこの地で過去にあった出来事でした。

季節の移ろいの中で、このような歴史文化を感じながらのんびりと歩く散歩道。特別な荷物は何も必要ありません。ただ、静かに空を見上げたり、樹々の様子を窺ったり、遠くの大文字を見つめたり……。まちなかの自然をじっくりと味わいながら、是非京都の良さを感じてみてください。

さて、本当は人に話したくない、私が独り占めしたいと思っているこの散歩道ですが、グローバル化の潮流でしょうか、最近は外国人の観光客もたくさん訪れるようになりました。地元に住まう身としては、少しいじけてしまう気持ちもなくはありませんが、日本の中でも特に「和」を感じられる、京都の良さを知って貰いたいという思いで、とっておきの散歩道をお教えしましょう。

散歩のスタートは「烏丸今出川」から。少し下がって乾門より「御所」に入ります。最も烏丸寄りの細い小道を下がったら、縣井~中立売休憩所の裏手~中立売駐車場横の樹々の中~桃林~梅林~出水の小川~下立売御門の順でゆるりと散歩してみて下さい。

素晴らしい風景の数々が、日常の疲れを存分に癒してくれるでしょう。

 

何度も散歩へ訪れているのですが、その中でも気に入っている季節があります。それが、春を出迎える3月初旬です。出水の小川辺りに咲く、黄色い可憐な花「蝋梅(ろうばい)」へ目を向けてみて下さい。毎年この時期は、芳香な香りに思わず鼻を近づけ、京都の春を感じています。

もうひとつのお気に入りがあります。それが「中立売休憩所」です。京都散歩で小腹が空いた時に、うどん・丼定食で腹ごなしができます。個人的には「衣笠丼定食」「木の葉丼定食」が好みで、良くオーダーしています。

うどんは京風でこしのないやわ麺タイプ、丼は少し醤油味が濃いめでどちらも絶品ですので、「御所」へ散歩にいらしたときには、是非立ち寄ってみて下さい……と言いたいところなのですが、実は、現在「中立売休憩所」はリニューアル工事中、代わりに南休憩所に隣接した「中立売休憩所+PLUS」が開館しています。先に紹介したメニューの他、京都土産を買うこともできますので、遠方からの観光客からも人気のスポットです。

工事中の「中立売休憩所」は、平成30年12月には、ニューオープン予定のため、完成後の散歩が今から楽しみです。花も葉もない「御所」の冬景色には、また別の味がありますよ。

参考URL
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/kyoto.html

京都御苑