まだまだ冷え込む京都の冬。しかしながら、私の足は京都まちなか散歩へ行きたいようで、行き先を求め疼いております。さて、どこへ散歩に行こうと考えたところ、澄んだ寒空の下できりりと冷える水の姿が思い浮かびました。
そんな訳で本日の散歩先は、京都三名水でも知られる京都市上京区、御所の東にあります「梨木神社(なしのきじんじゃ)」にいたします。
こちらは以前も散歩へ訪れたことがあったのですが、着いてみると「あれっ?」不思議な感覚へ陥ります。ぐるりと周囲を見渡してみたところ、ある異変に気付きました。なんと、鳥居の後ろに立派なマンションが建っていたのです。
過去に京都まちなか散歩へ訪れた記憶を引き出す限り、この場所は確か参道でした。つまり、かつての境内の中にマンションがある、ということになります。これは推測の域ですが、現代社会において神社を継承、つまりは伝統を継承していくのは難しいことだと思われます。
そこで経営を維持するために、やむを得ない苦肉の策としてこのような現状となったのでしょう。ここが鳥居です。ここからの眺めは以前のままですが、後ろにマンションが建ってしまっていることで圧迫感を感じます。
ぐるっと回ってこの鳥居が入口となります。
こちらへ散歩に来たことで、千本旧二条にかつてあった「出世稲荷神社」を思い出しました。こじんまりとした、やや地味な趣きでしたが、散歩へ行くにはちょうど良く、節分には必ずお参りに行っておりました。
人生における辛酸をなめていた時期、手を合わし起死回生を日々祈ったこともありました。ところがその後、「出世稲荷神社」は経営が成り立たず大原に遷座されてしまいます。その後跡地にマンションが建つと知った時、非常に悔しい気持ちが込み上げました。
ふと耳にしたのですが、遷座の理由は固定資産税を支払えなくなったから、とのこと。しかしながら、神社の跡地にマンションとは、京都の景観が損なわれるようで、京都まちなか散歩を楽しんでいる一人としては、残念でたまりません。
界隈の人たちが集える施設とか、自然あふれる公園とかそのような選択肢はなかったのでしょうか? 高額で土地を売ることができたのでしょうが、マンション建設を進める業者には「この罰当たり」と思ったりしたものです。
まちは変遷し、姿を変えていくことが必定なのでしょうが、継承し維持していく伝統や進化していく伝統もあると思います。もちろんそれにはお金が必須ですから、私たちにもなにかできることはないものか、と考えることが多いです。
インターネットが普及し、クラウドファンディングといった新しい資金集めの方法も浸透して参りましたので、今後経営が困難になりそうな神社などは有効に活用して良いのではないでしょうか?
もし、京都以外の地域であっても、同じように神社がマンションになりそう、という危機を抱えているのであれば、私も何らかの支援ができればと思う次第です。
本日は、思いがけないマンションの登場で、京都まちなか散歩の気がそがれてしまいました。「梨木神社」の有名な三名水については、また別の機会にじっくりと取り上げたいと思います。
最後に、気を取り直して御神木に触れ、京都まちなか散歩を終わりとしましょう。こちらは御神木である桂の木で「愛の木」とも呼ばれています。葉の形がハート型になっており、恋愛にご利益があるとか。京都まちなか散歩で恋愛パワースポット巡りをされている方には、よく知られているようです。
参考URL
http://nashinoki.jp/