スポンサーリンク

ツイート

アーカイブ

Categories: まちなか散歩

お寺?要塞?金戒光明寺!

京都の街並みをゆっくり散歩し、景色、音、香り、それらを身近に感じることが、私の何よりの楽しみです。ですが時折、まちなかより少し離れた場所から、洛中を眺めたくなる日もあります。本日は、そんな時に私が散歩へ足を運ぶ、とっておきの空間へとご招待します。

散歩の向かう先は、左京区黒谷町。高台を登った先にあるのが、浄土宗大本山「金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)」です。京都のまちなかから東に位置しており、ここからは京都市内が一望できます。また、夕日に染まる京都を眺めることができる寺院でもあり、魅了されるまちなか散歩のひとつでもあります。

まちでは「くろ谷さん」と呼ぶことが多いのですが、こちらは三重塔(文殊塔)、木造千手観音立像や、山越阿弥陀図、地獄極楽図といった重要文化財を寺宝とされています。

散歩の中でお会いした珍しい仏さまをご紹介します。「五劫思惟(ごこうしゅう)阿弥陀仏」ですが、特徴的な頭髪(螺髪 らはつ)を持つ珍しい仏さまです。とても親しみを感じるお顔をなさっています。京都まちなか散歩では、優しいお顔された仏さま、優しい風景、優しく咲く花など、優しさともよく出会います。

京都まちなか散歩を続けましょう。見どころ満載ですが、その雄々しい姿には、何度訪れても圧倒されます。頑強な山門、高い石段、巨大な御影堂など、寺院というよりもむしろ「城」もしくは「要塞」と呼ぶにふさわしい容貌。このような、城郭を思わせるような構造は、同じ浄土宗総本山「知恩院」での散歩でも感じることができます。

それではなぜ「金戒光明寺」が、このような姿になったのか。謎を解く鍵は、先ほど紹介した地理的意義、「高台」にあります。

京都の政治的な掌握に力を注いでいた「徳川家康」は、有事の際に軍を配置できる直轄地を2カ所設けました。それが、「金戒光明寺」と「知恩院」です。とりわけ高台の上に位置したくろ谷は、軍事的な拠点から洛中を見渡せる大変都合の良い立地でした。まちなかに「二条城」東に「知恩院」さらにそれほど離れていない地に「金戒光明寺」と、幕府の戦略がとても色濃く感じられます。

また「金戒光明寺」は、會津藩と深い関係があることでも有名です。會津藩主中将松平容保公は京都守護職としてこの地に入り、本陣とします。京都の治安維持に手を焼いた容保公は、「新選組」を「會津藩御預り」として指揮しました。

「新選組」の名付け親でもある容保公と新選組は、深いつながりがあり、近藤や土方はことあるごとに「くろ谷」を訪れ、裁断を仰いだようです。

容保公と言えば、2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」でスポットが当てられました。実は、ドラマの制作に少し関わったのですが、容保公の子孫であられる14代当主の保久さんが八重さんのお墓参りに行かれるとのことで、ご一緒させていただいたことがあります。

驚いたのは、市長はじめ會津から来られた方々は、みなさん保久さんを「殿」と呼んでおられたことです。今なお受け継がれる実直な會津の気風というか、気質を感じたことを記憶しています。

「金戒光明寺」は、その他京都での撮影現場としてよく知られています。おなじみの時代劇ドラマやCMなど、様々な時代や設定の撮影が行われていますので、是非見つけてみて下さい。
京都まちなか散歩の途中で偶然、撮影に出くわすこともあるかもしれません。

美しい京都の町を眺め、壮絶な歴史の変遷を感じることができる「金戒光明寺」、様々な表情を持ち、今なお人々を魅せ続けています。

参考URL
http://www.kurodani.jp

金戒光明寺
miyaby

Share
Published by
miyaby

Recent Posts

花を求めて(両足院)

6月26日にようやく梅雨入りし…

5年 ago

錦秋の窓!源光庵

2月の寒空の中、鷹峯のきつい坂…

5年 ago

厳かな!京都御所

とかくに散歩に出かけますと足が…

6年 ago

花を求めて(植物園 その5)

二条城西南櫓近く押小路通に「二…

6年 ago

まちなかぶらりん(閑院宮邸跡、拾翠亭)

前日の夜から台風20号が近畿地…

6年 ago

花を求めて(植物園 その4)

今年の京都の夏は気温38度を超…

6年 ago