だんだんと、京都も春めいてまいりました。この季節になりますと、テレビや新聞などの開花予報を頼りに、お花見や京都まちなか散歩の計画を立てる方が多いのではと思います。
この予報ですが、一般に開花と言われるのは、気象台等に植えられている標本木の状況で判断されるとのことです。その標本木とは、ソメイヨシノを指しています。
しかしながら、一括りに桜といっても様々な品種があり、ソメイヨシノよりも先んじて咲く品種もあります。以前京都まちなか散歩でご紹介しました「一条戻橋」の河津桜もその一つでした。
本日は、ぶらり散歩と伴に、正に今が盛りという早咲きの桜を鑑賞しようと思います。ソメイヨシノよりも朱が濃く、あまりの素晴らしさに目を奪われ、しばし視線を逸らすことができないほどと言っても差し支えありません。
訪れた先は、出町柳駅から歩いて程ない距離にあります「長徳寺(ちょうとくじ)」です。「砂川の三軒寺」の一つである「長徳寺」は、萩の生育で広く知られていますが、この季節の主役は、なんと言っても山門脇にある「オカメ桜」です。
毎年2月下旬から、3月上旬に開花する早咲きの一種で、可憐なピンクは、一度目にしたら忘れることのできない色彩です。天を覆い尽くすように、咲き誇るこちらの花は、今まさに満開といったところでしょう。
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どれだけ眺めていても飽きませんが、本日の京都まちなか散歩では、もう一か所、どうしても訪れておきたい散歩先があります。それが、二条城の北西にあります「二条公園」です。
ここはもともと児童公園なのですが、現在は改修され幅広い世代が散歩や休息を楽しめるスポットとなっています。子どもさんと一緒に京都まちなか散歩を楽しみたい方は、こちらへ立ち寄ることで親子ともに癒しの時間を得られるでしょう。
公園に到着するや否や、濃厚な桃色が目に飛び込んできました。まるで木の実のように、下向きに咲く可愛らしい花弁。早春を思わせる京都まちなかの風情を持つこの樹木は、「寒緋桜(かんひざくら)」と言います。
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この木は、沖縄でも育つ珍しい品種なのだそうです。桜は、「寒い冬」を経験しないと開花できないのですが、「寒緋桜」は南方の植物であるため、寒さが厳しくない場所でもこうして花をつけることができます。
逆を言えば寒さに弱い品種とも言えますので、冬に冷え込みが厳しい京都でも美しい花を咲かせてくれることがありがたい限りです。枝から垂れるように咲くその姿は、かんざし飾りのようです。散り方も独特で、花びらをひらひら舞わせることはなく、「がく」ごとぽとりと落ちてくるという特徴があります。
京都のまちにはもうこんなにも春が訪れていました。早咲きの桜とは、この時期にしか出逢うことができませんので、また来年の再会を強く誓ったところで、本日の京都まちなか散歩を終えることにいたします。