所用があって寺町通を二条通に向かって下がっておりました。そんな時、不意に頭に浮かんだのが、数日前に掲載されていた京都新聞の記事です。
その内容は「幻の実験道具、島津製に続々帰還 学校統廃合や校舎改築で」(2018年4月22日)というものでした。
「島津製作所」と言えば京都が誇る企業ですから、他地域にお住いの方も名前は知っていらっしゃるかと思います。本社は京都市中京区にあり、これまでの京都まちなか散歩の際にも、目に入ることがありました。
木屋町二条界隈に「創業記念資料館」があります。先の記事にありました、明治時代初期に製造された教育用の理化学器械などがこの資料館で展示されているとのこと。
近くまで来たこともあり是非見てみたいと感じ、このまま京都まちなか散歩へ参ることにしました。
車やバイクに乗られる方ならGSバッテリーという名前をご存じだと思います。このGSというのは旧・日本電池のブランド名であり、島津源蔵(2代目)のイニシャルに由来します。ちなみに、初代島津源蔵が島津製作所の創業者です。
「島津製作所」は、京都の数ある企業の中でも伝統があり、高い技術力を有しています。日本だからこそできる、細やかな技術の数々が戦前戦後の国を支えてきました。
もう30年も前になるでしょうか。私が就職活動をしていた時のことです。就職先として父は、「島津製作所」を薦めてくれました。
内定をいただくことができとても喜んでくれたのですが、結局私は違う道を選択することになります。今さらながらとなりますが、「島津製作所」にはお世話になり、お礼を申し上げなければなりません。
散歩の足が資料館へと着き館内へ入りますと、初期の「医療用X線装置」 が視界に入って来ました。この装置を開発したことで「レントゲンの島津」と呼ばれるようになったとのこと、とても希少な機械に触れることができ嬉しく思います。
その他にも木製の顕微鏡や旋盤、起電機やガスクロマトグラフに人体模型まで、今回の散歩では珍しいものをたくさん見ることができました。博物館や美術館にはない、企業ならではの展示がどれも興味深かったです。科学立国への強い息吹、京都のまちの心意気のようなものを感じました。
先駆的ものづくりのまちである京都。今も多くの企業が本社を置いていますが、明治時代という大きな社会変動の中、島津源蔵をはじめ多くの人たちが、科学技術への寄与という高い志を持っておられたことを知る、京都まちなか散歩になりました。木屋町へ散歩に訪れる際には、また立ち寄ってみようと感じ、帰路に着きました。
参考URL
https://www.shimadzu.co.jp/visionary/memorial-hall/