京都のまちに秋が深まって参りました。この季節は、否が応でも紅葉を見にまちなか散歩へ行きたいと心がはやります。どこへ散歩の足を延ばしても、見事な紅葉を目にすることができる京都ですが、私が意中としていたのは京都市左京区にある「南禅寺」です。
しかし、紅葉散歩がしたいと切望しているのは私だけではありません。「そうだ 京都、行こう」がすっかり定着した昨今、同じように世の人も願い、京都のまちは賑わいを見せます。特に、東山と嵐山には近づかない(近づけない)のが現況です。
さて、東天王町からぶらりと散歩をしながら「南禅寺」を目指そうとしますが、途中には人だけでなく車や人力車、猫、鳥とあらゆるものが密集しています。嵐山や清水さん界隈はもっとすごいことになっているのでしょう。京都の風物詩ともいえる紅葉ラッシュですが、京都の景観を損なわないよう、まちなか散歩や観光が楽しめるよう心掛けたいですね。
そんなことを考えながら散歩を続けますと、いよいよ「南禅寺」が見えてきました。この「南禅寺」はおよそ4万5000坪という、広大な敷地の中に存在しています。300本以上あると言われている楓の葉が一斉に色を変える様子は、是非一度は見て頂きたい景色。
日中散歩をすることが多いのですが、この時期「天授庵」では、17時半以降紅葉のライトアップが行われているため、夕方から足を運んでも良いでしょう。言葉を失ってしまうような幻想的な風景と出会えます。
この「南禅寺」は臨済宗の大本山です。国内にある禅宗寺院の中でも、もっとも格式の高い寺院としても知られています。いざ「三門」や「法堂」を目の当たりにすると壮大さというより荘厳さを感じます。
季節を問わず、写真で見るのではない、実際の「南禅寺」への散歩を通じて是非訪れてみて下さい。日本三大山門にも選ばれている「三門」の重厚感に、圧倒されることでしょう。
大盗賊「石川五右衛門」が「三門」より見た風景に対して「絶景かな」と言い放ったのは、歌舞伎で有名なところです。そこには「南禅寺あっぱれ!」という想いも隠れていたのではないでしょうか。京都が誇る、お気に入りの名所の一つです。
「三門」近くには「塔頭」があります。ここから垣間見える紅葉は「あはれなり」と平安人のように思わず発してしまうほどの美しさでした。静寂の中で無常を感じながらじっくりと紅葉と対峙してみたい、それは、贅沢すぎる願いなのかもしれません。
もちろん「静かに紅葉を楽しみたい」という時にぴったりの、京都人しか知らない穴場の散歩通もありますので、また機会があればご紹介したいと思います。
「日常の喧騒から離れてみたい」と考えている方は、休日散歩のついでに「南禅寺」の座禅会や写経会へ参加してみてはいかがでしょうか?座禅会は朝6時~無料で参加できるため、清々しい朝の空気を吸い込みながら、京都の持つ静けさに身を委ねてみるのも一興です。同時に聞くことのできる、ありがたい10分法話を楽しみに通っている方も多いです。
また、「南禅寺」は湯豆腐発祥の地としても有名です。寺院周辺には多くの京料理のお店が立ち並んでいますので、京都まちなか散歩の際には食事へ立ち寄ってみるのもおすすめです。紅葉観覧で冷えた体を、湯豆腐が心から温めてくれるでしょう。
参考URL
http://www.nanzen.net/index.html