日に日に陽射しが温かくなる3月初旬の京都。こんな季節の散歩には、やはり京都が誇る庭園がおすすめです。本日の京都まちなか散歩は、名勝「無鄰菴(むりんあん)」を目指し、歩いていくことにいたします。
京都市左京区にあります「無鄰菴」は、疎水沿いの仁王門通を東に行き、ちょうど南禅寺前交差点のところに位置しています。「無鄰菴」のお隣には、400年の歴史を持つ高級料亭「瓢亭(2017ミュシュランガイドで三ツ星です)」があります。
気軽に立ち寄るお店ではありませんが、貴重な京都観光でしたら、こちらの朝がゆを頂いてから、京都まちなか散歩をスタートさせるのも小粋かと思います。
本日京都まちなか散歩へ向かいますこの「無鄰菴」は、「山縣有朋」の別邸でありました。長州藩の出身で総理大臣を務めた政治家ですが、庭という空間に対して幅広い知見を持っていた人物とのことです。
庭園へ散歩の足を踏み入れますと、その思いが良く分かります。散歩の足が辿り着いたのは、広大な芝生が敷き詰められ、東山を借景とし、疎水の水を引いて流れとするなど自然のありよう。「山縣有朋」が感じた自然の美しさを、ありのまま現出していると感じました。
これまでの京都まちなか散歩で、多くの寺院の庭をご紹介して参りましたが、特に禅宗のお寺の庭はう~んと考え込んでしまうような謎解きが隠されているなどの特徴があります。
しかしこちらの庭は絵画的とでも言いましょうか。開放的で明るく、生き生きとした自然を丸ごと体感できる庭だと感服しました。5種類あるチケットには「山縣有朋」が庭を散歩し感じた言葉が書かれているとのことで、全種類集めたくなってしまいます。
このように強いこだわりをもった人物ですから、庭園を造営する際も山縣自らが指示し、七代目小川治兵衛が作庭したとのこと。実際の庭の様子は「無鄰菴」のHPより360度映像を閲覧することができますが、自分の目で見た方が遥かに感ずる部分がありますので、こちらはあくまでも参考に、ぜひ京都まちなか散歩を通じて素晴らしさを体感して頂きたく思います。
参考URL:https://murin-an.jp/about/
散歩を続けていきますと、洋館へ着きました。ここは、元老「山縣有朋」、立憲政友会総裁「伊藤博文」、総理大臣「桂太郎」、外務大臣「小村寿太郎」により日露開戦直前の外交方針を決める「無鄰菴会議」が開かれた場としても知られています。
洋館を眺めた後、再度京都まちなか散歩の足を庭園へ向けている途中に、全く別の話でふと思い出したことがありました。あれは小学校低学年の頃だったと思うのですが、私の家はここから程近い南禅寺塔頭の檀家であったため、家族でお墓参りに行く途中でした。
その時、なにかを撮影をされているところに出くわしたのです。京都の中でも南禅寺界隈は別荘が多く、静かで落ち着いた家並みが続くのですが、道路に砂利を敷き一時的な小雨をホース?で降らしておられるという場面でした。
その大きな邸の門からひょいと顔を出されたのは……なんと!着流し姿の石原裕次郎さんだったのですからそれはもう驚愕です。しかし、驚いたのはそれだけではありません。後日テレビで清酒松竹梅のCMが映し出されたのですが、その場面は正にあの日私が見たものと同じ。
思わず「これや!これや!」と叫ばずにはいられませんでした。それにしてもすらりと背の高い男性だったなあと思い出します。子どもながらにオーラのようなものを感じずにはいられない、そんな出来事でした。
京都まちなか散歩の最後は「無鄰菴」にあります庭園カフェで一息つきましょう。カフェから眺める風景がまた良く、許されるのであれば何時間でも過ごすことができそうです。お気に入りの風景はポストカードで持ち帰ることもできますので、散歩の思い出に浸りたい方は、自分へのお土産にご用意してみても良いかもしれません。
参考URL
https://murin-an.jp/