私は京都人として、まちの風景を楽しみながら京都まちなか散歩をしていますが、好きなのは景色だけではありません。京都の人たちが持つ独特の雰囲気もそうですし、京都の言葉へ深い愛着を持っております。
そんな京都の柔らかい言葉からは「北野天満宮」は天神さん、「平野神社」も平野さんと親しみを込めた呼び方に変わります。本日は、そんな平野さんを散歩先とし、のんびりと歩き出します。
京都にあるお社を「天神さん」「平野さん」と言った「さん」づけで呼ぶのは、京都の風習と言えるのかもしれませんが、詳細については分かりません。京都だけでなく、関西圏では同じような呼び方を見かけることもあります。
まちなか散歩で出会った高齢の方は、さんより「はん」と呼ばれることも多いでしょう。例えて言いますと、八坂神社を「祇園はん」とか「八坂はん」とか呼ぶ類です。
さて、京都まちなか散歩の目的地、平野さんへ到着すると、春には見事な魁(さきがけ)桜が出迎えてくれます。多くの散歩客が目当てにしているこの桜は、平野神社発祥とのことです。早咲き種のため、かつては都へお花見シーズンを知らせるシンボルだったという話もあります。
お花見のシーズンは格別ですが、どの季節にお参りしてもそれぞれの良さがあります。京都のまちをしっかり散歩したい方は、元旦から2月末日まで行われている「西大路七福社ご利益めぐり」に参加してみるのもおすすめです。7キロほどのコースを一日で回りながら、たくさんのご利益を頂きましょう。
また、皇室とも縁が深い神社で、本殿は二殿一体となった独特の「平野造り」で建てられています。これらはすべて、国が指定する重要文化財です。4殿には4柱の神様が祀られており、それぞれ活力生成、生活安泰、邪気退散、生産といった御利益をもたらしてくれると言われています。
ぶらり散歩の足を進めて行くうちに、ふと興味を引くものがありました。それが、旧日本海軍の重巡洋艦衣笠の写真です。以前から戦艦に関心があり、いくつものプラモデルを作った経験がありますので、衣笠の写真を見た途端、思わず散歩の足が止まってしまいました。
ちなみに、この界隈は「衣笠」と言い、「衣笠山」「等持院」「龍安寺」「わら天神」「京都府立堂本印象美術館」「立命館大学」などがある文化エリアです。
この地と戦艦とは瞬時にイメージが結びつくものではなく、どのような関係があるのか少しだけ調べてみました。艦名については諸説ありますが、平野神社の近く、西北に位置する衣笠山に由来する説と艦内神社(軍艦等に設けられる小さな神社)に「平野神社」が祀られた説がその関係性のようです。
この写真は、サクラの季節に京都まちなか散歩にて訪れた時のものです。この美しい桜には我を忘れてしまうほどの迫力があります。京都まちなか散歩で訪れる方は3月25日頃~4月20日頃を選ぶとライトアップがあったり、桜茶屋が出店され賑やかです。この期間には、無料で観覧できる桜コンサートも人気があります。
「魁桜」が素晴らしいのはもちろん、季節が移ろっていく中で約60種400本もの桜を楽しむことができます。ここにしかない品種も多いため3月~4月の期間は平野さんへ足繁く京都まちなか散歩へ通ってしまうのが通例となっています。
今では、
「春=桜=平野さん」
というのが、まちなか散歩における私固有の方程式になっているほどです。
参考URL
http://www.hiranojinja.com