毎年5月第2週の日曜日は、今宮さんの還幸祭が行われます。毎年楽しみにしておりますが、あまりにも雨が激しいため、残念ではありますが、今年の京都まちなか散歩で訪れるのは見合わせることとしました。
やすらい祭も今宮さんの祭も、来年は見ようと固く心に決め、別の散歩先を求めて参ります。
今年の京都は特に、加速度的に季節が移ろってくように感じます。この分では、知らぬ間に梅雨が始まってしまいそうです。その前に、この春芽吹いた新緑を見ておこうと思い、天神さんの史跡御土居の青もみじと少し足を延ばして等持院の庭を鑑賞してきました。
「天神さん」の御土居跡周辺を散歩しますと約350本のモミジが見られます。古いものは、樹齢400年を超えているとのことで貫禄があります。
毎年10月下旬の紅葉シーズンには、全国から大勢の京都観光客が訪れておりましたが、2015年以降は初夏の一般公開も始まり、こうした清々しい「青もみじ」も見学できるようになりました。
さらに京都まちなか散歩の足を進めて行きますと、秋の紅葉や春の梅が咲き誇っている頃と違い、観光で訪れる人がまだ少ないようです。紙屋川沿いに広がる御土居はひっそりとしており、砂利や小枝を踏む足音が、小気味良く耳へ届きます。
天を仰げばそこは一面、真新しい緑。青く茂ったモミジの葉の隙間から、陽光が零れ落ちてきました。朱色のうぐいす橋がまた、新緑に映えます。静かな空間での京都まちなか散歩が、大きな癒しの時間となります。
天神さんを後にして、足利将軍家の菩提寺「等持院」を訪れました。
ここには「心寺池(しんじいけ)」と「芙蓉池(ふようち)」と名付けられた池があり、それらを囲むように、趣の異なる二つの庭園が広がっております。本堂、霊光殿、茶室清漣亭は、現在修復中の事。お寺の方のお話しでは、2020年に工事が完了するとのことですので、また枯淡の空間が現出された等持院へ散歩の足を運びたいと思います。
こちらでは、池の水面に青もみじが映り込み、優雅に揺れておりました。手入れの行き届いた枯山水に立つ姿、苔が地面を覆ううっそうとした庭に立つ姿、どちらも瑞々しく、大変美しかったです。このような光景も京都ならではです。
柄にもなく、お茶を一服いただきました。茶碗には、足利家の家紋である「丸に二つ引」が記されていました。お菓子は、とても上品なこしあんでした。
参考URL:http://sasayamorie.com/free/huyonotsuki
こんなほっこりした時間を過ごすのも、ぶらり散歩の醍醐味です。「天神さん」も「等持院」も何度となく訪れておりますが、その度に異なる様相があり、新たな発見があります。
その瞬間ごとの「風」や「陽光」、そして「空間の匂い」とでも言うのでしょうか、単なる「季節の違い」の一言では表現しきれない京都が持つ固有の風情ではないかと思います。
さまざまな要素が五感に響き、まるで初めて訪れたかのように感じてしまいます。
京都には、このようなまちなか散歩スポットがいくつもありますから、次の出会いを楽しみに、緑を目に焼き付けて帰路に着くことにします。